ocean law office

MENU

弁護士インタビュー

これより弁護士法人オーシャンHPでは、定期的に弁護士紹介を行なっていきます。
第1弾は、当事務所の代表を務める梶田潤弁護士です。
外国人が関係する案件に強く、扱ってきた案件数も約1,000件と、国内有数の経験を持つ梶田弁護士に、これまでの経験や仕事へのスタンスを振り返ってもらいました。

代表弁護士梶田 潤Jun Kajita

01.弁護士になるまで

学生時代の思い出を教えてください

海外旅行によく行きました。
それまで一度も海外に行ったことがなかったのですが、世界史を勉強していたこともあり、海外への興味が強かったです。

最初に行かれた国は?

シンガポールからマレーシア、そしてタイに行きました。
中国にも何度か訪れています。
学生だったので比較的お金がかからない所、要はアジア圏などの近い国々へ出かけました。
現地の言葉も話せず、食事を頼む時もメニューを指差しながらでしたが、親切な方が多くて助けられました。

弁護士になろうと思ったのは、
どうしてですか?

大学では法学部に入ったのですが、弁護士になるという考えは持っていませんでした。
就職を考えるようになった時、会社員という働き方ではなく、自分の意思で働ける環境に身を置きたいと思いまして、それなら弁護士になるのがいいかな、と。

02.弁護士事務所で働き始め、
独立するまで

最初は別の弁護士事務所に籍を置いて働いていたのですよね?

そうです。交通事故などの民事案件を多く扱う事務所でした。
ところが、なぜか自分のところには外国人からの案件が多く来ていました。
外国と関わる仕事をしたいという漠然とした気持ちがあったので、このことはポジティブに受け止めていました。

独立したのはどうしてですか?

弁護士の仕事もいろいろあります。仕事に慣れてきてからは、自分のやりたい仕事を、自分の考え方と近い、または志を共有できる仲間と進めていきたいという思いが強くなったのが具体的なきっかけですね。
独立して12-13年経ちましたが、今では当事者の双方又は一方が外国人だったり、事件発生地が外国であるなど、渉外的要素の関わる事件への対応が多くなりました。
相続・離婚・交通事故・労災など、これまでに簡単な相談も含めると1,000件くらいの取扱い件数があります。

「外国と関わる仕事」は、
どのように広がっていったのですか?

初めからその事を強調していたつもりはなく、気がついたら増えていたという感じです。
印象に残っている案件があります。
日本の会社で働き、高所作業中に怪我をして下半身付随・車椅子生活になったアフリカ系の方がいました。自分と同世代の方です。
4-5年と長い時間がかかりましたが、多額の慰謝料を獲得し和解に至ることができました。
この案件に関わる中で、「身の安全が保障されていない」「待遇面で不当に扱われている」「何か起こっても相手にしてもらえない」という思いをされている外国人の方が多いことに気づきました。
大学生の頃に訪れた海外で親切にしてもらった事を思い出すと、これは何とかしないといけないな、と思うようになってきたのです。

日本に住む外国人の中には、偏見や差別を感じている方もいるということですか?

そうです。日本人だと実感することがあまりないと思いますが。
公職に就く日本人の中にも「外国人だから嘘ついてるだろ」と言う人が実際にいました。
簡単ではありませんが、この状況を変えていきたい。
弁護活動だけでなく、何かしらの仕組みづくりや世論喚起などにも貢献していきたいと考えています。

03.弁護士としてのスタンス

クライアントから相談された後は、
どのような動きを取るのですか?

クライアントの代わりに私から訴えたい相手に連絡し、書面で和解条件等の申し入れをします。またそれに先駆けてクライアントの話を何度も聞き、調査も行います。
実現したい結論を設定し、それを達成するためにどういう法的手段ができるかを考えて準備するのと併せて、これまでの経験と証拠分析で落とし所も想定します。
相手側にも弁護士がつくケースがほとんどなので、そこからは相手の弁護士と交渉や裁判を行い、なんとか決着に持ち込む感じです。

クライアントの話は何度も聞くとか?

はい。何回もヒアリングしないといけません。
まず、法律や裁判に普段から接していない人は、何が重要かご存知ない場合が多く、大事な事もこちらから聞かないと言わない。何度かお話を聞いてようやくポイントがわかることも多いです。
また説明が少ない方の場合、本筋と異なる質問がきっかけで「どうしてそれを言ってくれなかったの?」的な重要な話を聞き出せることもあります。

外国人クライアントの場合、日本人クライアントと異なるのはどんな点ですか?

特に欧米人のクライアントの場合、自分がお金を払っているからこういうふうに動いて欲しいという要求、ご自分の意見をストレートに出される方は多いですね。
自分が納得しないとダメだ、この条件では和解できない、ということもあります。
落とし所についての合意を図ろうとしても、クライアントが納得しない場合もあるので、その時は母国制度との違いを説明しないと進まないですね。
エネルギーが必要な仕事ですが、最終的にはほとんどの方が納得してくれます。

04.これからの弁護士業界は
どうなる?

最近は自動生成AIなどのテクノロジーによる社会変化が話題ですが、弁護士業界への影響についてどうお考えですか?

証拠などを読み込ませたら、裁判の勝率が弾けるなど出来るようになりそうですね。
AIの発展具合によりますが、予め勝率が見えるようになれば和解事案が増えて裁判は無くなるかもしれない。

自分の考えとしては、具体的に立法を考えることや意味のあるNGO活動を展開するなど、法律に詳しい職種だからこそ出来ることにチャレンジしながら、AIと共存できるポジティブな可能性を追求したいですね。
同時に、弁護士事務所としては特徴がないと生き残っていくのは難しくなると考えています。
そのためにも、自分たちは渉外的要素の関わる事件や外国語対応を充実させることを推進しています。

法曹界の信頼をより高めるために、梶田先生自身は何ができると思いますか?

弁護士が積極的に公益活動にも従事し、そのことを社会全体にアピールしていく必要はあると思います。私たちの事務所においても、公益訴訟や政策形成訴訟といった社会的意義のある訴訟には積極的に関与していこうと考えています。

日本のリーガルサービスが現在そして将来に抱える課題は何だと思われますか?

外国人の関わる事件に対応できる事務所、外国語での対応ができる事務所はまだ日本国内に多くはないと思います。多くの事務所が国際化に対応していくことは必要だと思います。
一方で、これまでは生産人口の減少を海外の労働力で補完する考えがありましたが、今の日本は海外と比べて人件費が高いわけではないので、外国人にとっても日本に来るメリットが少なくなっている。
ここは国レベルで検討しないといけない部分かな、とも感じています。

05.弁護士法人オーシャンについて

弁護士法人オーシャンという名前の由来について教えてください。

もともと自分は目黒国際法律事務所という弁護士事務所を営んでいました。
そこの顧問になっていただいていた髙橋先生の事務所がオーシャンだったのですが、1年前に継承させていただくことになり、私の事務所も合併してオーシャンという名前を残した形になります。
高橋先生は英米法に詳しく、海外にもアンテナを張っている方でしたので、オーシャンという名前には海外を意識したお考えがあったのだと思いますし、またこれまでの話のとおり、私の弁護士活動においても海外との関わりは避けて通れないので、この名前は自分たちにも合っていると考えています。

国内でも支所を設けるようになっていますね

今春、クライアントがいらした京都にも事務所を出しました。
うちは英語以外の外国語対応も可能で、弁護士事務所の中では珍しいタイプに思います。
外国人の方が多く住む地域はいくつもありますので、そういったところにも事業展開し、国内で30箇所くらいは拠点を設けたいと考えています。

海外でも支所を立ち上げたいと聞きましたが、すでに具体的な構想があるのですか?

まだですが、日本の弁護士事務所があまり展開していない所を開拓していきたいですね。
そのような国に展開している日系企業、そして現地の方が日本で起業または生活するなどのサポートができればと思います。
もちろん、偏見・差別に関わる取り組みをしていくことも視野に入れて活動していきます。