国籍・認知について
- Q私はフィリピン在住のフィリピン国籍の女性です。昨年日本人男性との間に子供を出産しました。男性は子供を認知したくないといって日本に帰ってしまいました。男性に子供を認知してもらうことは可能でしょうか。
男性に子供を認知してもらった場合、子供は日本国籍を取得できますか。
また、私と子供は日本に来日することはできますか。 - A夫が認知をしたくないと言っている場合でも、日本での裁判手続によって認知してもらうことが可能です。DNA鑑定によって生物学的親子関係が認められれば、裁判所の判決によって、ほぼ確実に認知請求は認められるでしょう。なお、DNA鑑定は、フィリピンに在住している方の場合、NPO法人等に依頼することによって来日しなくても行うことができる場合があります。
裁判所によって認知請求を認める判決が出された場合、お子さんは日本国籍を取得することが可能です。そのためには、判決その他の必要書類を揃えて日本大使館(領事館)で手続をする必要があります。
お子さんが日本国籍を取得した場合、お子さんは当然日本人として来日することができます。また、相談者の方も日本人の子を監護養育している親権者として定住者の在留資格を取得できる可能性があります。
- Q私はフィリピン国籍の女性です。日本人男性との間の子を育てています。男性に子を認知してほしいと思って男性の母親に連絡を取ったところ、男性は昨年事故で死亡したとのことでした。もう認知してもらうことはできないのでしょうか。
- A死亡してから3年以内であれば、認知の訴えを提起して、裁判上の認知をしてもらうことは可能です。DNA鑑定は、男性の母親との間で行うことなどが考えられます。
- Q私はフィリピン国籍の女性です。日本人男性との間の子を育てています。男性は子を認知してくれると言っています。いわゆる任意認知と裁判所における認知とでその後の国籍取得の手続は何か違いはありますでしょうか。
- A裁判所において認知をしてもらった場合の方が、国籍取得の場面では手続が簡便だと言われております。そこで、裁判所で認知の手続をした方が国籍取得の面ではよいと考えられます。
- Q私は日本とアメリカの二重国籍です。どちらか一つの国籍を選択しなければならないのでしょうか。
- A国籍法上は、一定の期限までにいずれかの国籍を選択する必要があるとされ、法務省は、公式見解として、期限までに選択をしない場合には、日本の国籍を失うことがあるとしています。しかし、現実には、国籍選択をせず、二重国籍、三重国籍のままでいる人がいることも事実です。
- Q私の父は日本人、母はブラジル人です。私は両親の婚姻期間中に、ブラジルで出生しました。両親が国籍留保の意思表示をしなかったので、日本の国籍を失いました。日本の国籍を再取得することは可能でしょうか。
- A日本に住所を有することによって、国籍を再取得できる可能性があります。
- Q私は、アメリカ国籍を有する父と日本国籍を有する母を持ち、私自身はアメリカ及び日本両国の国籍を有しています。日本で出生し日本国籍を取得しましたが、その後、アメリカ移民国籍法320条の適用により自動的にアメリカ国籍を付与され、重国籍状態となりました。私のように、外国の法律により自動的に外国籍が付与された場合でも、日本国籍を喪失してしまうのでしょうか。
- A
国籍法が定める国籍喪失事由は以下の6つがあります。
- ①自己の志望による外国籍の取得(国籍法11条1項)
- ②外国法令による外国籍の選択(国籍法11条2項)
- ③国外出生の場合の国籍不留保(国籍法12条)
- ④法務大臣への届出による日本国籍の離脱(国籍法13条)
- ⑤法務大臣による国籍選択の催告後の選択不履行(国籍法15条3項)
- ⑥法務大臣による国籍喪失の宣言(国籍法16条2~5項)
このうち、質問者様の事例で問題となるのは、①の国籍喪失事由です。外国の法律の適用により自動的に外国籍が付与された場合を「自己の志望による」といえるのでしょうか。
自己の志望によるとは、「表見的に外国国籍の志望取得の形式がとられただけでは足りないのであって、真に志望取得の意思をもってなされたものであることが必要である」と解されております。帰化した場合や、外国人との婚姻後にその本国の国籍を届け出により取得した場合などがこれに当たります。ただし、外国の法律の定めに基づき、婚姻等の身分行為により当然に国籍を取得した場合や、未成年の子が親の外国国籍取得に随伴して当然にその国籍を取得した場合などは除かれます。
したがって、本件のようにアメリカの法律の適用により自動的に国籍を付与された場合は、外国籍取得の積極的志望、意思がないといえることから、国籍法11条1項の「自己の志望によって」には当たらないと考えられますので、これにより日本国籍を喪失することはないと考えられます。
- Q私は生まれたときから日本とA国の二重国籍を有する30歳の女性です。日本のパスポートを更新する際に、申請書の「外国籍の有無」の欄に「有」と記載しても問題ないでしょうか。
- A日本の法律では、重国籍の方は20歳になったら22歳までに国籍の選択をしなければならないと定められています。22歳を過ぎても国籍の選択をしない場合に、法務大臣が一定の期間を定めて国籍の選択をすべきことを催告することがあり、その選択の催告を受けて、定められた期間内に日本国籍を選択しない場合には日本国籍を失うと規定されています。しかし、国籍選択をせずに重国籍状態にある方が多いのも現状であり、国籍選択をしないことによる罰則規定は存在しません。
したがって、パスポート申請の際に外国籍「有」と記載した場合、国籍選択を促される可能性はありますが、そのこと自体により罰せられることはないと考えられます。
- Q私は生まれたときから二重国籍であり、日本の国籍を選択することを考えています。この場合、外国国籍を放棄する手続きも取らないといけないのでしょうか。
- Aまず、日本の国籍の選択の方法としては、(a)有している外国籍の離脱と(b)日本の国籍の選択の宣言の2つがあります(国籍法14条2項)。両者の違いを端的に言えば、(a)の方法を採った場合、重国籍は解消されて日本国籍単一となります。(b)の方法を採った場合は、重国籍は解消され、国籍選択の義務は履行したことになるため、法務大臣の催告を受けることはなく、催告に基づいて日本国籍を喪失することもありません。しかし、この場合は、それによって外国の国籍を当然に喪失することになるわけではないので、併有する外国の国籍を離脱する手続きを採る努力義務がある状態です(国籍法16条1項)。なお、この努力義務の履行状況を確認する制度とはなっておりませんので、どちらかの国籍を失うといったような結果にはならないと考えられます。
- Q私はC国の国籍を有している成人男性です。父は日本国籍を有しており、私自身は長年日本に居住しております。日本に帰化したいと考えておりますが、そうした相談もできるのでしょうか。
- Aはい、帰化に関するご相談も承っております。帰化について、日本の現行制度では、日本国民でない方が本人の志望に基づいて帰化許可申請をし、法務大臣の許可により日本の国籍を取得することができる仕組みとなっています(国籍法4条)。ご相談いただいた方が、国籍法の定める帰化条件に該当するかを検討したうえで、該当しそうな場合には、必要書類を揃えたり法務局に同行したりするなど、帰化の申請手続のサポートをさせていただきます。