状況に応じた具体的な対応例をご紹介します。
ハーグ条約に基づく子どもの返還請求は、事案によって対応方針が大きく異なります。
以下では、実際によくある相談例をもとに、弁護士がどのような対応を行うかをケース別にご紹介します。
case1日本に連れ帰られた子どもの返還を求められた(返還請求を受けた側)
- 状況
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フランスで暮らしていた子どもと母親が、一時帰国の名目で日本に戻った後、母親が帰国を拒否。
父親(フランス在住)から日本の裁判所を通じて「返還申立書」が届いた。
- 対応のポイント
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- 返還請求の「不法性」の有無(監護権の有無・同意の有無)を確認
- 子どもの「順応」や「危険」など、返還拒否事由の検討
- 調停での柔軟な解決(例えば、段階的返還や監護権の分割)も視野に入れる
- 弁護士からの一言
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返還命令が出ると、原則として子どもは元の国に戻されます。
ただし、虐待や環境の急変など、子どもの利益を損なう事情がある場合は、返還拒否が認められる可能性があります。
case2海外に連れ去られた子どもの返還を求めたい(申立てをする側)
- 状況
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日本で生活していた子どもを、別居中の外国籍の配偶者が無断で出国させ、カナダに連れ去ってしまった。
- 対応のポイント
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- 子どもの「常居所地」が日本にあるかの立証
- 外務省と連携し、相手国の裁判所に対して返還申立てを行う
- 相手国の弁護士と協力して現地裁判に対応する必要も
- 弁護士からの一言
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迅速な行動がカギです。1年を過ぎると「新しい環境への順応」が理由で返還が難しくなることがあります。
海外とのやり取りを円滑に進めるためにも、専門家への早期相談が重要です。
case3子どもを返還したが、その後の交流や安全が不安
- 状況
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子どもの返還命令が確定し、配偶者のいる国に戻すことになったが、今後の交流や虐待のおそれが心配。
- 対応のポイント
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- 返還後の「面会交流」「保護監督体制」の構築
- 相手国の福祉当局や弁護士と連携し、安全確保を図る
- 弁護士からの一言
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返還命令が出た後も、子どもの安全と親子関係の維持は大きな課題です。必要に応じて、外国当局と協力して対応します。
まずはあなたのケースを
お聞かせください
ここに挙げたケースは一例にすぎません。
実際の対応には、家族構成、居住国、国籍、文化的背景など多くの要素が影響します。
当事務所では、あらゆる国際家事事件に個別対応し、国内外の弁護士・公的機関と連携しながら最適な解決策をご提案しています。