在留資格認定証明書交付申請
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- 1.家族や労働者を日本に呼び寄せたい場合
- 在留資格認定証明書とは、日本に来日しようとする外国人が特定の在留資格に該当することを法務大臣が事前に証明する書面のことをいいます。
例えば、海外で配偶者と婚姻したため、当該配偶者を日本に呼び寄せたいという場合や海外に居住する外国人を日本で雇用したいという場合があります。このようなときに、当該外国人を日本に呼び寄せるには、入国管理局に在留資格認定証明書の交付申請を行います。入国管理局から在留資格認定証明書が交付されると、それを海外の当該外国人に郵送します。そして、当該外国人が当該証明書を持参して在外日本公館で査証の申請をすると、スムーズに査証を取得し、入国時にも在留資格を取得することができます。
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- 2.短期滞在から他の在留資格に変更する場合
- 短期滞在の在留資格で来日した場合、在留資格を変更するためには、入管法上「やむを得ない特別の事情」が必要とされています。その具体例としては、短期滞在の在留資格で来日し、その後に日本人と婚姻をしたため、「日本人の配偶者等」へ在留資格を変更するような場合が考えられます。
そのような「やむを得ない特別の事情」が存在しない場合には、在留資格認定証明書の交付申請を行います。申請を行い、在留資格認定証明書が交付された場合には、短期滞在の在留資格から新たな在留資格に変更することがかのうです。
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- 3.審査期間
- 審査の期間は、事案の難易によってケースバイケースですが、早ければ1か月程度、遅い場合ですと1年近くかかる場合もあります。
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- 4.不許可の場合の対応
- 申請が不許可となった場合、当該不許可に対して裁判を起こすことも可能ですが、時間がかかりますので、再申請を検討する方が適切です。
入国管理局では、不許可の理由について説明を受けることができますので、理由を聴取した後、その理由をカバーする証拠を新たに作成、添付して再申請を行います。
解決事例
以下に当事務所が手掛けた在留資格認定証明書交付申請の事例についてご紹介いたします。
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- Case 1(18歳の連れ子に対して定住者の在留資格認定証明書が交付された事例)
- 事案
相談者は、日本国籍の男性とA国籍の女性の夫婦です。女性には、A国に残してきた前夫との間の子がいます。子は18歳になったことから、女性は、子に対して日本で高等教育を受けさせたいと考えました。そして、「定住者」の在留資格の付与を求めて、在留資格認定証明書の交付申請を行いましたが、不交付となりました。夫妻は何とかして子を日本に呼び寄せたいと考え、当事務所に相談に来られました。 - 解決方法
外国人配偶者の連れ子については、親の扶養を受ける未成年で未婚の実子であれば定住者の在留資格が付与されます。今回のケースですと、18歳と成人年齢に近づいており、親の扶養を受ける必要性が認められないことなどが不交付の理由でした。そこで、いまだ自立しておらず親の扶養を受ける必要があること、来日後は就労するのではなく、日本語学校に通い日本語を習得し、その後、高等教育を受けるため進学を検討していることなどを証拠をつけて丁寧に説明しました。そうしたところ、無事「定住者」の在留資格認定証明書が交付されました。
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- Case 2(上陸拒否事由がある者について在留資格認定証明書が交付された事例)
- 事案
相談者は永住者の在留資格を有するB国籍の女性です。相談者には、B国に同国籍の夫がいます。夫とともに日本で生活したいと考えていますが、夫は、20年以上前にオーバーステイで逮捕され、有罪判決を受けていました。夫は、その後、B国で正規の手続により氏名を変え、過去に退去強制を受けたことを秘して、その名前で何度か来日していましたが、数年前、入国しようとしたところ、指紋により過去に退去強制歴があることが発覚し、入国することができませんでした。以後、来日していません。女性は、一度自分で在留資格認定証明書の交付申請を行いましたが、不交付となりました。そこで、何とかして夫と一緒に日本で生活することはできないものだろうかと考え、当事務所に相談に来られました。 - 解決方法
夫は、過去に日本で有罪判決を受けたことがあるということですので、入管法上の上陸拒否事由が存在するということになります。しかも、夫は、そのことを秘して何度か来日していたということですから、ご依頼を受けた当初は、入国はかなり難しいのではないかと考えておりました。しかし、夫婦の愛情が深く、入国を認めないのは人道上許されるべきではないこと、夫婦が日本で生活をしていくのに十分な資力を有していることなどを記載した意見書を作成し、それに女性の手書きの嘆願書等多数の証拠を添えて入国管理局に提出しました。そうしたところ、審査には半年以上の期間を要しましたが、無事、「永住者の配偶者等」の在留資格認定証明書が交付されました。
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- Case 3(不許可の理由をカバーする疎明資料を揃えて再申請した結果、在留資格認定証明書が交付された事例)
- 事案
相談者は、C国籍の女性です。D国籍の男性とD国で婚姻したため、男性を日本に呼び寄せたいと考え、ご自身で在留資格認定証明書の交付申請を行いました。しかし、不許可となってしまったため、当事務所に相談に来られました。 - 解決方法
まず、弁護士が入国管理局に出向き、不許可となった理由を確認しました。その結果、相談者の資力が十分でないことが不許可の理由だと分かりました。弁護士が相談者の方に聞き取りをしたところ、入国管理局に資料として提出していない預貯金等の資産があることが明らかとなったため、それらの証拠とともに弁護士の意見書を添えて再申請を行いました。その結果、数か月で無事、男性の在留資格認定証明書が交付されました。
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- Case 4(一度不許可となった従業員の呼寄せに成功した事例)
- 事案
相談者は、日本でA国レストランを経営するA国籍の男性です。これまで勤務していたコックの退職が決まったため、A国から新たなコックを呼び寄せたいと考え、ご自身で在留資格認定証明書の交付申請を行いましたが、不交付となりました。 - 解決方法
弁護士が入国管理局に出向き、不交付の理由を確認したところ、直近の会社の決算が赤字となっており、会社が債務超過状態にあることが原因と分かりました。弁護士が相談者に聞き取りをしたところ、会社には十分な預金があり、債務超過となっているのは、代表者からの借入金が多額に上っているためであることが明らかとなりました。そこで、預金額を明らかにする証拠とともに、代表者からの借入については実質的には資本金と同視できるものであり、会社の経営状態に問題はない旨を記載した弁護士の意見書を添えて、入国管理局に対して再申請を行いました。数か月後、無事、在留資格認定証明書が交付されました。
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- Case 5(過去に難民申請をしていた方の在留資格変更許可申請が認められた事例)
- 事案
相談者は、D国の国籍の男性です。来日後は、難民申請をしていましたが、不許可となり、短期滞在の在留資格を付与されて日本に滞在していました。相談者は、その後も日本に滞在を続けることを希望して、当事務所に相談に来られました。 - 解決方法
短期滞在の在留期限が迫っていたところ、まず、新型コロナウイルス感染拡大の影響により帰国困難な状況にあるものとして、特定活動の在留資格への変更申請をして、これが許可されました。
そして、特定活動の在留資格で滞在している間に、相談者は日本の食品会社において海外取引業務に携わる人員として正式に雇用が決まったため、同会社における業務が技術・人文知識・国際業務の業務に該当することを説明して、同資格の在留資格認定証明書交付申請を行いました。その結果、在留資格認定証明書を得ることができたため、技術・人文知識・国際業務への在留資格変更許可申請を行い、無事、同資格を取得することができました。