
国際離婚とは?外国人との離婚や海外居住者との離婚に関する基礎知識
国際離婚(渉外離婚)とは、当事者の一方が外国人である場合や、夫婦のどちらも日本人であっても海外に居住している、海外に財産があるなどのように、国境を越える法律問題を含む離婚手続きのことを指します。これらのケースは、日本の通常の離婚とは異なり、国際裁判管轄や準拠法(どの国の法律を適用するか)など、複雑な法的問題を含むため、専門的な対応が求められます。
例えば、外国人配偶者との協議離婚、国際結婚後の離婚、国外で成立した離婚の日本での効力確認など、多岐にわたる対応が必要です。また、子どもの親権や面会交流、財産分与、養育費、年金分割なども国際的な視点で整理しなければならないため、専門知識が不可欠です。
当事務所では、これまでに1000件を超える国際離婚・渉外離婚のご相談や解決実績があり、長年にわたり積み重ねた豊富な経験と専門知識をもとに、国際離婚に悩む方を全面的にサポートしています。日本国内での離婚だけでなく、海外居住者や外国籍の配偶者との離婚手続きについても、適切なアドバイスと実務対応が可能です。
国際離婚の方法|外国人配偶者との離婚手続きにはどのような種類がある?-+
国際離婚(渉外離婚)を進める際には、一般的な日本の離婚手続きと同様に、以下の4つの方法があります。
- 協議離婚(話し合いによる離婚)
- 調停離婚(家庭裁判所での調停手続きによる離婚)
- 審判離婚(調停不成立時に家庭裁判所が判断する離婚)
- 裁判離婚(訴訟によって離婚を認めてもらう方法)
協議離婚|合意がある場合に最も簡便な方法-+
離婚について当事者同士で合意ができている場合、日本では「協議離婚」が最もシンプルな方法です。夫婦が署名した離婚届を市区町村役場に提出することで、裁判手続きなどを経ずに離婚が成立します。
ただし、注意が必要なのは「協議離婚制度が存在しない国」もあるという点です。例えば、アメリカやイギリスなど一部の国では、裁判所の関与なしに離婚を成立させる制度が認められていない場合があります。このような国では、日本での協議離婚が相手国で法的に効力を持たない可能性があるため、離婚後に思わぬトラブルに発展することもあります。
そのため、国際離婚を協議離婚で行う場合は、相手国の法制度においても有効とされるかどうかの確認が重要です。
調停離婚|話し合いがまとまらない場合に家庭裁判所で解決を図る-+
離婚の条件について合意ができていない場合や、相手との直接交渉が難しい場合は、家庭裁判所に「調停」を申し立てることになります。調停では、中立の立場である調停委員を介して、双方の意見を調整しながら合意形成を目指します。
国際離婚の場合、相手方が海外に住んでいる、または外国語での対応が必要であるといった事情も多く、裁判所からの呼び出しや出頭手続きに特別な配慮が必要になります。
調停は合意が成立すれば、その内容が調書として記録され、法的な拘束力を持つことになります。比較的柔軟な対応が可能なため、裁判に至る前に解決できることも多くあります。
審判離婚|調停不成立でも裁判所が判断することがある-+
調停が不成立となった場合、通常は訴訟(裁判)に移行しますが、一定の条件を満たす場合には、家庭裁判所が職権で「審判」を行い、離婚を成立させることもあります。
審判離婚は件数としては少ないものの、双方の主張や証拠が明らかであり、訴訟に進めるほどの争点がない場合などに家庭裁判所が迅速な解決を図るために用いられる手続きです。
裁判離婚|訴訟による正式な判断を求める-+
話し合いや調停では解決できない場合は、最終的に家庭裁判所に訴訟を提起して、離婚の可否について法的な判断を仰ぐことになります。
国際離婚の裁判では、以下のような複雑な要素が絡むことが多く、慎重な法的検討が不可欠です。
- どこの国の裁判所に提起できるか(国際裁判管轄)
- どの国の法律に基づいて離婚を判断するか(準拠法)
- 相手方へどのように送達するか(国際郵便・領事送達・ハーグ送達条約など)
- 子の親権や養育費、財産分与、慰謝料、年金分割の取扱い
訴訟を通じた国際離婚は、時間と費用がかかるものの、判決により確実に離婚を成立させることができる点で、最終的な解決策として重要な位置づけになります。
国際離婚では専門的な判断と対応が求められます-+
協議離婚、調停、審判、裁判という4つの方法がある中で、どの手続きを選ぶべきかは、相手の国籍・居住地・法律制度・同意の有無など、さまざまな要素によって変わってきます。
特に国際離婚は、日本国内の通常の離婚よりも法的・手続的に難易度が高く、相手国での効力を確保するための戦略も重要となります。
国際離婚の裁判管轄とは|日本で離婚裁判を起こすことはできるのか?
国際離婚(渉外離婚)を検討する際、まず確認すべき重要なポイントのひとつが「日本の裁判所に離婚を請求できるのか(国際裁判管轄)」という問題です。
これは、外国人配偶者や海外在住の配偶者との間で離婚をしたいと考えたとき、どの国の裁判所で離婚裁判を行うことができるかを定めるルールであり、国際的な離婚紛争では極めて重要な意味を持ちます。
裁判管轄のルールが明文化された背景-+
かつて日本には、渉外離婚に関する「国際裁判管轄」についての明確な法律の規定が存在せず、裁判所の実務に委ねられていました。しかし、実務上の不明確さを解消するため、2019年(平成31年)4月1日に改正人事訴訟法が施行され、国際離婚の管轄に関するルールが明文化されました。
日本で国際離婚の裁判を行うことができるケース(改正人事訴訟法第3条の2)-+
改正法に基づき、以下のいずれかに該当する場合には、日本の裁判所に離婚訴訟を提起することが可能とされています。
図解国際離婚における日本の裁判管轄
- 日本で離婚裁判ができる場合
-
- 1被告が日本に住んでいる
被告の住所(居所)が日本にある
- 2夫婦の両方が日本国籍
海外居住中でもOK
- 3原告が日本に住んでおり、かつ夫婦の最後の共通住所が日本
過去に日本で同居していた実績があれば可
- 4原告が日本に住んでおり、かつ次のような特別な事情がある
-
- a)被告が行方不明
- b)外国判決の効力が日本で認められない
- c)DVなどにより日本に逃れてきた 等
主な4つの裁判管轄要件の詳細-+
- 1被告の住所が日本にある場合(第3条の2第1号)
- 外国人であっても、被告が日本に住んでいる(または居所が日本にある)場合には、日本の裁判所に離婚を請求することが可能です。
- 2夫婦がともに日本国籍である場合(同5号)
- 夫婦がともに日本国籍であれば、たとえ現在の居住地が海外であっても、日本の裁判所に離婚を申し立てることができます。
- 3原告が日本に住み、夫婦の最後の共通住所が日本にある場合(同6号)
- 配偶者のどちらかが海外に転居していたとしても、申立人(原告)が現在日本に居住しており、かつ過去に夫婦が日本で同居していた場合には、国際裁判管轄が認められます。
- 4特別の事情がある場合(同7号)
- 原告が日本に住んでおり、被告が行方不明、または外国判決が日本で効力を持たないなど、日本で裁判をすることが当事者間の公平や迅速な審理に資すると認められる特別な事情があるときには、日本の裁判所で審理することが可能となります。
「行方不明」であることを証明する方法-+
被告(外国人配偶者)が行方不明である場合には、以下のような証拠をもとに、裁判所にその旨を説明する必要があります。
- 原告の陳述書(被告と連絡が取れない経緯の記載)
- 出入国記録(被告が出国後に帰国していない証拠など)
- 被告に送付した国際郵便が「あて所に尋ねあたりません」等で返送された記録
「特別の事情」があるとされる典型例-+
実務上、以下のようなケースでは「特別の事情」があるとされ、日本の裁判所が裁判管轄を有すると認められる可能性があります。
- 配偶者が一方的に本国に帰国して音信不通になった(遺棄されたケース)
- 海外でDV(家庭内暴力)を受け、日本へ逃れてきた
- 外国で離婚裁判を起こしても、日本でその判決の効力が認められない状況にある
このような場合には、日本で裁判を行うことが「当事者間の衡平」や「迅速な審理の確保」に資すると判断される可能性があります。
国際離婚の準拠法とは|どこの国の法律が適用されるのかを判断するルール
国際離婚(渉外離婚)を進める際には、「どの国の法律をもとに離婚の可否や効果を判断するか」という問題、すなわち準拠法(Applicable Law)の選定が非常に重要です。
たとえば、日本で離婚手続きを行う場合であっても、日本法ではなく外国法が適用されることがあるため、手続きの内容や要件に大きな違いが生じる可能性があります。
◆国際離婚の準拠法は「法の適用に関する通則法」で決まる-+
国際離婚の準拠法については、「法の適用に関する通則法(通則法)」の第27条に基づいて判断されます。この条文では、夫婦の国籍や居住地などに応じて、次のようなルールが定められています。
図解国際離婚の準拠法(通則法27条)
- 1夫婦の本国法が同じ場合
その本国法が適用される
(例:夫婦ともに中国国籍 → 中国法)
- 2本国法が異なるが、常居所地が同じ場合
常居所地の法律を適用
(例:日本に住む中国人夫+韓国人妻 → 日本法)
- 3本国法も常居所地も異なる場合
最も密接な関係がある地の法律
(例:結婚・同居が日本で、妻だけ帰国 → 日本法)
- 4日本人の一方が日本に常居所を有する場合
日本法
(例:日本に住む日本人配偶者 → 日本法)
準拠法の具体的な適用例-+
- 1夫婦の本国法が同じ場合(通則法27条1号)
- 夫婦が同一の国籍を持っている場合には、その国の法律が離婚に適用されます。
(例:夫婦ともに中国籍 → 中国法が適用される)
- 2国法は異なるが、夫婦の常居所地が同じ場合(同2号)
- 国籍が異なる場合でも、同じ国に一緒に住んでいる(常居所地が一致)場合は、その国の法律を適用します。
(例:中国人の夫+韓国人の妻、いずれも日本に居住 → 日本法が適用)
- 3本国法も常居所地も異なる場合(同3号)
- 夫婦が異なる国籍で、それぞれ別の国に住んでいるような場合には、「最も密接な関係がある地」の法律を適用します。
(例:結婚・長年の同居が日本であったが、現在は別居 → 日本法が選ばれる可能性が高い)この判断には、結婚の地、同居期間、婚姻生活の実態などが総合的に考慮されます。
- 4日本人配偶者が日本に住んでいる場合(特則)
- 夫婦の一方が日本国籍を持ち、日本に住んでいる場合には、特別に日本法が適用される旨が定められています(通則法27条4項)。
(例:アメリカ人の夫、日本人の妻(日本在住) → 日本法が適用
準拠法と裁判管轄の関係|検討すべき順番に注意-+
重要な注意点として、準拠法の検討は、国際裁判管轄(日本の裁判所で扱えるか)の判断の後に行う必要があります。なぜなら、日本に裁判管轄が認められない限り、日本の法律である「通則法」の適用そのものが問題にならないからです。
つまり、手続きの流れとしては、
- 日本で裁判ができるかどうか(裁判管轄)を確認する
- どこの国の法律が適用されるか(準拠法)を判断する
という順序で検討することが大切です。
国際離婚の準拠法は、ケースにより結論が異なります
国際離婚においては、単にどこで離婚するかだけでなく、「どの国の法律が適用されるか」によって、離婚の成立条件や手続き、親権・財産分与などの結論が大きく異なります。
適用される法律によっては、たとえば「相手の不貞がなければ離婚できない」「財産分与が認められない」「片方の同意がないと親権が認められない」など、日本法とは大きく異なるルールが適用されることもあります。
外国での離婚判決は日本でも有効?|国際離婚と外国判決の効力について解説
国際離婚では、相手方が外国に住んでいる、あるいは外国で裁判を起こすといったケースも少なくありません。その際によく問題となるのが、「外国の裁判所で離婚判決を得た場合、その効力が日本でも認められるのか?」という点です。
この点については、日本の法律、特に民事訴訟法第118条に基づいて判断されます。
◆外国の離婚判決が日本で認められるための4つの条件【民事訴訟法118条】-+
日本で外国判決の効力が認められるには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。
図解外国離婚判決が日本で有効となる4つの条件
- 1外国裁判所に裁判権があること
国際的に適切な裁判所であることが必要
- 2被告に裁判書類が正当に送達されていること
呼出状・訴状が正式に届けられたこと(公示送達を除く)
- 3判決内容や手続きが日本の公序良俗に反しないこと
人権侵害的な判断や極端な偏りがないかなど
- 4相互保証(互恵関係)があること
その国も日本の判決を認める制度を持っていること
各要件の解説-+
- 1外国裁判所に裁判権があること
- その外国の裁判所が、当事者や事件との関係性から見て、正当な裁判権を有しているかが問われます。たとえば、相手方の居住地であれば裁判管轄が認められやすいですが、日本在住の日本人に対して、関係の薄い国で一方的に判決が出された場合などはこの要件を満たさない可能性があります。
- 2被告に裁判書類が正当に送達されていること
- 被告が適切に訴訟に呼び出されたことが必要です。つまり、訴状や呼出状が正式な方法で送達されていなければなりません。「知らない間に裁判が終わっていた」ようなケースでは無効とされる可能性があります。
※私人による直接の郵便送達は、国際的な手続き上、正当な送達とみなされない場合があります。
- 3判決内容・手続きが日本の公序良俗に反しないこと
- たとえば、著しく不平等な判断や、一方の権利を不当に制限するような内容であれば、日本の法秩序や社会常識(公序良俗)に反するとされ、無効になる可能性があります。
- 4相互保証(互恵関係)があること
- これは、相手国が日本の裁判所の判決を認める仕組み(相互主義)を持っているかを判断するもので、多くの主要国(アメリカ、ドイツ、フランス、中国、韓国など)とは互恵関係があります。
◆日本で効力が認められない可能性のある例-+
以下のようなケースでは、日本において外国の離婚判決の効力が否定される可能性が高いと考えられます。
- 例1正当な通知がなかった場合
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日本に居住している日本人に対して、呼出状が送られないまま、外国で一方的に裁判が出された場合。
これは②の送達要件を満たさないおそれがあり、無効とされる可能性があります。
- 例2私人による直接の郵便送達
-
外国の裁判所からの訴状が、条約上の公式なルートではなく、本人が私的に郵送しただけだったようなケース。
送達の方式が正規でないため、②の要件を満たさず、日本で離婚届の受理を拒否される可能性があります。
これらのケースに当てはまるか否かの判断は、個別の事情により異なるため、専門的な確認が必要です。また、日本での戸籍届出を円滑に進めるには、離婚判決の効力が日本で認められるよう、あらかじめ送達や手続きに配慮しておくことが不可欠です。
日本での離婚は外国でも有効?|国際離婚における「外国での効力」に注意
国際離婚において、日本人と外国人が日本で離婚した場合、その離婚が外国でも有効と認められるかは、非常に重要な問題です。
特に、離婚の成立方法(協議離婚・調停・裁判など)や、離婚が成立した国の制度により、外国でその離婚の効力が認められないケースも存在します。
◆外国によっては、日本での離婚が認められないこともある-+
日本国内で離婚が成立したとしても、それが外国(特に外国人配偶者の国籍国)で法的に有効かどうかは、その国の法律に従って判断されます。
たとえば、日本では当事者の合意だけで離婚が成立する協議離婚制度が広く利用されていますが、世界的に見ればこの制度を認めている国は決して多くありません。
- 事例日本での離婚が外国で認められなかった例
-
- 日本人と外国人配偶者が日本で協議離婚したが、相手国では裁判所による離婚が原則であり、日本の協議離婚が公的な離婚として登録されなかった
- 外国人配偶者が自国で再婚しようとした際に、「日本での離婚は無効」とされ、重婚のリスクを指摘された
このようなリスクは、日本での離婚が相手国の法制度上「離婚とは認められない形式」だった場合に生じます。
◆協議離婚は国際的に認められにくい-+
日本では非常に一般的な協議離婚制度ですが、世界の多くの国では、離婚は裁判所の判断や行政機関の介在を前提とするのが通常です。
そのため、日本で協議離婚をしただけでは、外国での離婚効力が否定される可能性があります。
◆協議離婚でなく調停・審判・裁判離婚を選ぶことも検討を-+
離婚の形式によっては、外国で効力が認められないリスクがある点を踏まえると、将来的に相手国での効力を確実に確保したい場合には、調停離婚や裁判離婚など、司法判断を伴う手続きを選ぶことも重要な選択肢となります。
- 裁判離婚や調停離婚は、公的手続きによる正式な離婚と認められやすく、外国での認証や登録がスムーズになることが多いと考えられます。
- 協議離婚を選んだ場合は、相手国の制度に応じた追加手続が必要になる可能性があることを理解しておく必要があります。
離婚後の在留資格はどうなる?|外国人配偶者のための在留資格変更ガイド
国際結婚により「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格で日本に滞在している外国人の方が、離婚した場合、その在留資格の前提が失われることになります。
そのままの在留資格では在留期間の更新ができず、在留期限の満了後には日本に在留できなくなるおそれがあるため、速やかに「在留資格変更許可申請(ビザの切り替え)」を行う必要があります。
◆離婚により「日本人の配偶者等」の在留資格はどうなる?-+
「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格は、婚姻関係の継続が前提となっているため、離婚した場合はその前提が失われます。
そのままでは
- 在留期間を更新できない
- 一定期間(原則6か月)経過後、在留資格取消手続の対象となる可能性も
したがって、離婚後も日本での生活を希望する場合は、別の在留資格に変更する必要があります。
◆離婚後に取得できる可能性がある在留資格:定住者-+
離婚後に外国人配偶者が日本に残るためには、「定住者」の在留資格を取得できるかどうかが鍵となります。
定住者ビザが認められる主なケース
実態のある婚姻生活が3年以上続いていた
結婚生活が形だけではなく、実態のある婚姻生活であったことが必要
本人に安定した収入・生活基盤がある
就労している、生活保護に頼っていない、生活費を自分で払える等
このような条件を満たす方は、離婚後も「定住者」への在留資格変更申請が認められる可能性が高くなります。
◆収入がなくても定住者ビザが認められるケース-+
ただし、次のような事情がある場合には、収入がない、生活保護を受給しているといった状況でも「定住者」への変更が認められる可能性があります。
例:日本人の実子を監護・養育している場合
- 離婚後も、日本人との間に生まれた子どもの親権者として実際に監護している
- 実子と同居し、日常的に養育・生活の面倒を見ている
- 収入がなく、生活保護を受けていても可(一定の条件あり)
このような場合は、親子関係の継続が「日本との特別な結びつき」として評価され、「定住者」ビザが認められる可能性があります。
◆在留資格変更のために必要な準備とは?-+
在留資格変更には、次のような資料が必要となります(ケースに応じて異なります)。
- 住民票
- 戸籍謄本(日本人の実子を監護している場合)
- 収入証明(課税証明書及び納税証明書)
- 身元保証書
◆離婚後の手続きは早めの対応が重要です-+
在留資格変更の申請は、離婚後すみやかに行うことが求められます。申請が遅れると、在留資格の取消しの対象となることもあるため、注意が必要です。
「離婚が成立したけれど、これからも日本で生活したい」「子どもを日本で育てたい」といったお悩みをお持ちの方は、早めに専門家へご相談ください。
国際離婚を弁護士に依頼するメリットとは?|複雑な手続きを安心して進めるために
国際離婚(渉外離婚)は、日本人同士の離婚と比較して、手続や法律関係が非常に複雑になるケースが多く見られます。そのため、専門的な知識と実務経験を持つ弁護士に依頼することは、多くのメリットがあります。
以下では、国際離婚を弁護士に依頼することで得られる代表的な利点をご紹介します。
1.複雑な法律関係を専門家に任せられる-+
国際離婚では、以下のような渉外特有の法律問題が絡んできます。
- どの国で裁判を行えるのか
(国際裁判管轄の判断) - どの国の法律が適用されるのか
(準拠法の選定) - どの方法で離婚するか
(協議・調停・裁判)
これらの問題は、離婚手続を正確かつ迅速に進めるうえで極めて重要ですが、一般の方が自力で判断・対応するには非常に困難です。
たとえば、相手国では協議離婚を認めておらず、裁判離婚が原則であるようなケースでは、日本においても将来の国際的効力を考慮し、あえて調停離婚や裁判離婚を選ぶべきこともあります。
また、国際裁判の管轄についても、原則としては「被告の住所地」にありますが、例外的に被告が日本に住んでいなくても日本の裁判所で手続が可能となるケースもあります。
弁護士に依頼することで、こうした判断を法律と判例に基づいて的確に行い、不要なトラブルを回避しながら手続を進めることができます。
2.弁護士の調査権限で相手の所在を確認できる-+
国際離婚では、相手方(外国人配偶者)が突然帰国して行方不明となるようなケースも少なくありません。そうした場合、自力で相手の所在を探すのは限界があります。
しかし、弁護士に依頼することで、弁護士会を通じて公的機関への照会が可能になります。
弁護士が行える主な調査方法:
- 出入国在留管理局への出入国履歴の照会
- 公的機関を通じた住民票や戸籍の取得、調査
これらの調査により、相手方の所在が判明すれば、適切な送達手続を経て調停や訴訟を進めることができます。
一方、調査を尽くしてもなお相手方の居所が不明な場合には、「公示送達」という制度を用いて裁判手続を進行することが可能です。この制度を活用するには、事前に十分に調査を尽くしたことが必要となるため、弁護士による調査が非常に重要です。