外国人刑事について
- Q私の友人は、オーバーステイだったため、先日、警察に逮捕されました。友人は、日本語を話すことができません。取調べには、通訳はつくのでしょうか。
- A 取調べには通訳がつくのが一般的です。しかし、中には十分な能力を有する通訳をつけてもらえないまま自分が述べていないことを述べたとされたり、述べた内容が正確に伝わらずに供述調書が作成されてしまったりすることもあります。したがって、できる限り早く弁護人を選任し、適切なアドバイスを受けることが重要だと言えます。
- Q私の友人(中国国籍)は、先日、オーバーステイのため、逮捕されました。勾留期間が満了した後はどうなりますか。
- A 起訴猶予により不起訴処分となるか、正式裁判となる可能性があります。不起訴処分となった場合には、釈放されることなくそのまま出入国在留管理庁の収容施設に移送され、退去強制手続が開始します。
正式裁判となった場合も、出入国在留管理庁の職員が判決の日に法廷で待機し、判決後に直ちに収容施設に移送され、その後退去強制手続が開始します。
- Q私はアメリカ国籍の男性です。日本国籍の妻と2人の子どもがいます。先月、薬物犯罪により逮捕されて、現在は、保釈中の身です。永住者の在留資格を持っているのですが、在留資格は取り消されてしまいますか。
- A 薬物犯罪は入管法上の退去強制事由に該当しますので、裁判終了後に退去強制手続が開始します。在留を認めるべき特別の事情が存在すれば在留特別許可がなされますが、その場合でも永住者の在留資格は取り消されてしまい、その代わりに「日本人の配偶者等」の在留資格が付与されます。
- Q私は中国国籍の男性です。私は、10年前に窃盗のため、日本で執行猶予判決を受け、その後中国に帰国しました。その後、中国で知り合った日本人女性と結婚をして、子どもも生まれました。妻と子どもは、先月日本に帰国したのですが、私も妻や子どもと一緒に日本で生活することは可能でしょうか。
- A 相談者の方の場合、入管法が定める上陸拒否事由が存在しますので、日本に入国するためには、上陸特別許可を得る必要があります。一般的には、在留資格認定証明書の交付申請を行う際に、上陸特別許可を認めるべき事情を説明し、それがあると判断される場合には、在留資格認定証明書が交付されることとなります。
- Q私の友人はタイ国籍の男性です。オーバーステイと窃盗で、先週逮捕されました。起訴された後は、保釈をすることはできますか。
- A 保釈の申請をすることはできますが、定まった住居を有しないとして、不許可となる可能性が高いでしょう。また、仮に保釈が許可された場合でも、出入国在留管理庁の収容施設に収容される可能性があるので注意する必要があります。
なお、在留資格を有する外国人の方の場合には、保釈が認められる可能性があります。このような場合は、弁護人が旅券を預かり、保管することが保釈の条件とされることがあります。
- Q私はアメリカ国籍の男性です。先週、私の息子が日本に遊びに行ったところ、違法薬物を所持していたということで逮捕されてしまったようです。国選弁護人がついているようなのですが、その弁護士は、英語を話すことができないので、今息子がどのような状況なのか全くわかりません。貴事務所に事件を依頼することは可能でしょうか。
- A 私選弁護人として、ご依頼を受けることは可能です。当事務所の弁護士であれば、直接英語による対応が可能ですので、ご検討ください。
- Q先日、私の婚約者(A国籍)が逮捕され、現在も勾留されています。婚約者の在留期間満了日が来週到来する予定です。警察署に勾留中であっても在留期間の更新許可申請を行うことはできますか。
- A 婚約者本人が申請を行うことはできませんが、入管取次の資格を有する弁護士であれば、ご本人に代わって手続を行うことが可能です。手続きにあたっては、本人のパスポートや在留カードが必要になる場合がありますが、これらが捜査機関によって押収されている場合には、弁護士が事情を説明して、還付を受けることによって手続きを行うこととなります。
- Q外国人の人が有罪判決を受けた場合、身柄はどうなりますか。
- A 外国人の人が有罪判決を受けた場合の身柄については、以下の3つのパターンに分けることができます。
まず、実刑判決を受け、それが確定した場合には、当該外国人は、日本人の場合と同様に刑務所に収容されることになります。刑罰の内容が無期または1年を超える拘禁刑の場合には、退去強制事由に該当しますので、退去強制手続きが行われます。
次に、執行猶予判決を受け、かつ、その時点で在留資格を有している場合には、判決後に身柄を釈放され、自宅に帰ることができます。もっとも、刑罰の内容が退去強制事由に該当する場合には、後日、出入国在留管理庁から呼び出しがなされ、退去強制手続が開始することとなります。
執行猶予判決を受け、かつ、その時点で在留資格を有していない場合(例えば、オーバーステイの場合)には、判決日に出入国在留管理庁の職員が法廷で待機しており、判決と同時に収容令書を執行され、出入国在留管理庁の収容施設に収容されることとなります。その後、退去強制手続が開始されます。